長曾我部元親は、武田との一戦で組んで以来、徳川家康と懇意にしている。
 からくり好きという共通点もあってか、まるで兄弟のように仲良くなったのだ。
 そして、浜松城には家康自慢の工房があると聞き、早速見学させろと、約束もなしに遠路はるばる訪れた。
 政務もそれほど忙しい時期ではなかった家康は、快く彼を迎え、本多忠勝も連れて工房へと足を運ぶ。
 ちょうど忠勝の呪力装甲の定期点検と重なっていた事もあり、工房内は道具が散乱していた。
「うっわ。うちといい勝負だな、家康」
「お前んとこもこんな感じか?」
「木騎とか作ってっから、棟はもっとでっけえけどな!今度、忠勝と一緒に見に来いよ」
「おう!」
 からくり談義で盛り上がる二人。
   その二人を穏やかに見守っていた忠勝だったのだが。

 ぱしん。

 分解されかけた呪力装甲に触れようとした元親の手を、忠勝が鋭く払いのけた。
「うおあ!いきなり何だ、忠勝さんよ。ちょっとぐれえいいじゃねーかよ」
 驚いた元親が手をひらつかせる。
『お断り致す』
「構造調べたいだけだって。盗んだりしねえよ」
『そういう問題ではありませぬ』
 忠勝は真顔で元親の前に立ち塞がる。
『これは、殿が某にとあつらえて下さった品。分解修理は、殿か、某のみと決めております』
「おーい、家康〜。こんな事言ってっけど…」
「あ、それ、うちの鉄則だからな」
「鉄則ぅ?!」
 元親の声が裏返る。
「ケチだな!」
「ケチじゃないぞ」
 家康は忠勝に抱きついて肩によじのぼり、元親を見下ろしてにこりと笑った。
「わしの一番は忠勝だ。忠勝の一番もわしだ。誰も勝てねえ。だから、鉄則」
「何だよそれ!」
 三河流家康理論に、元親が唖然とする。
『殿には全三河武士がついておりまする。我らが本拠地では、邪心は起こされませぬよう』
 忠勝の余裕の微笑は、無言の圧力。
「郷に入っては郷に従え、かよ。ちぇー。何か妬けるな」
「ははは、妬きたきゃ妬け!こないだのわしの誕生日なんて、忠勝が祝いの品だったんだぞ、いいだろー」
『ととととととと、殿ッ!!!!』
 爆弾発言に動揺して家康を肩から滑らせた忠勝が、慌てて落としきる前に抱き上げる。
「…忠勝、が?」
 半ば呆れた元親が問い返した。
「が。」
 抱きとめられた家康は悪びれもせず、ザビー城で覚えたVサインをしてみせる。
「…さよか」
 脱力した元親は、半笑いのまま、適当に拾い上げた螺子を親指の先でパチンと弾き上げた。




はるぽんさんが、タカミンから弾かれている間に書いてくださいましたー!
短い時間で最高の萌えをありがとうございます!!